子供だけではなく、
大人だってウキウキしちゃうのが夏祭り。
祭りの本来の目的は神様に感謝するとか、
桜祭りや雪祭りみたいに季節を祝う
みたいなものがルーツになるのでしょうが、
ここ日雇い労働者の街、
通称ドヤ街の山谷夏祭りはそうではない。。。
彼らにとってお盆休みとは、
数日間仕事が無くなるのが当たり前で、
その間メシが食えなくなる者も出てくるのだとか。
つまり、
日雇い労働者にとってお盆休みは死活問題。
そこで、
誰ひとり、飢え死にさせない!
みたいなスローガンで無料の炊き出しや酒を振る舞い、
お盆明けまで命を繋ごうぜ!
というのがこの祭りのルーツ。
そういうわけで、
特に何かの神に感謝してないし、
何かを祝う気もおそらくない。。。
当然、そこには髪をアップにしたような浴衣姿の女子もいなければ、
視界に入る黒髪のロングヘアーは全て
特殊なおじさんたち
ということになり、
甘酸っぱい夏の思い出が胸に刻まれることもなさそうだ。。。
そんなDEEPな祭りだからかネット上でも事前情報が皆無で、
なんとなく
8/13〜15に開催されるであろう
ぐらいのふわっとした情報の上に、
台風7号の接近とコロナの影響で
本当に開催されるのかどうかもわからない状況だったけど、
いざ、ダメ元で来てみると、
そんな心配をヨソに大勢の先輩方がずらりと集結していた。
17:30OPENの玉姫公園の前にずらっと並ぶ先輩方。
開場と同時に公園内に流れ込み、
お目当ての無料のカキ氷やウーロンハイを手にすると
さっさとどっかに消えていく者や、
ひとり1回までのルールがあるにも関わらず
もう1杯貰おうと再び列に並ぶ者もいるが、
列を整理してる運営側のチェックの前に
あっさりと砕け散る。。。
なんだよ!
オレまだ貰ってねーよ!!
と食い下がる者もいるが、
その手には貰ったばかりのカキ氷が
夕方の斜光に光る。。。
開場からしばらくして、
そんな入場者達のわちゃわちゃが落ち着いた頃合いを見計らってから公園に入ると、
運営の方から僕にも炊き出しのカレーライスが手渡された。
それが目当てで来たわけじゃないが、
余ってもしょうがないんで、、、
良ければどうぞ
の言葉に甘え、
ちゃっかりカキ氷もセットで頂いてしまった。
と同時に特設開場からは
ビールの早飲み大会の参加者を募る呼びかけがあり、
我れ先にと先輩方が殺到するのかと思いきや
意外とそうでもなく、
定員20名のうち10名ほどしか集まらなかったので、
しかたなく、
いやほんと、やむを得ず、、、
少しでも暑い中で頑張られている運営さんの進行の
お役に立てればと思い、
僭越ながら早飲み大会にエントリーさせていただいた。
ルールは5名ずつで早飲みを競い、
その勝者たちで2回戦目の早飲みをし、
そこで優勝者を決めるというもの。
うっすらと予感はしてたのだが、
勝敗がどうこうではなく、
シンプルにビールが飲みたいだけの先輩も混じってたので、
不覚にも決勝戦へ進出してしまった。。。
そしていざ決勝戦。。。
スタートの合図の前に、ひとりの挑戦者から質問がでる。
これ勝ったら何かくれんのかー?
この一言に挑戦者一同、
あ、たしかに!
え、なんか貰えんの?
みたいな空気になるが、
進行役からは
タダでビール2本飲めたのが商品で〜す。
と冷静に言い放たれ、
一同、
おぉぉ、、、
とナゾの説得力に納得。
商品が無いのならばと
最後は競うこともなく、
テキトーに口をつけて飲んだフリをし、
あえて飲み残した瓶ビールを席に持ち帰り、
ゆっくりと自分のペースで飲り直す先輩たち。。。
なんとも平和な
早飲みしない早飲み大会のフィナーレとなり、
競ったわけでもないがさっさと飲み終えてしまった僕が
事実上、優勝となってしまった。。。
そんなこんなで祭りも終盤。
バンド演奏による昭和歌謡ショーが始まり、
美空ひばりの『愛燦燦』が歌われる。
僕も好きな曲だ。
ビールを一気飲みしたせいか、いつもより酔いがまわり、
心地酔い気分も手伝って僕も先輩達と一緒に合唱する。。。
完全にドヤ街の先輩たちとひとつになれた瞬間。
ほんの少しだけ胸がアツくなった。
サマソニでも
フジロックでもない、
特殊な夏のフェスが
人知れぬ公園にありましたとさ。。。
玉姫公園
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