僕なりの酒場の楽しみ方のひとつとして
なんとなくで食べたいものをお願いするのではなく
とにかくメニューを端から端まで
じっくりとにらめっこしてから
グッと来たものをマスターにお願いする。。。
というのがある。
見たことも聞いたこともないメニューがあれば、
それをツマミに一杯飲るのが酔い夜への近道だ。
さてさて、今日の酒場はどうだ?
手書きのテント屋根にグッときたこちらへ
お邪魔させていただくことにした。
壁に整列する定番メニューに、
びっしりと黒板に書かれた季節モノのメニュー。
テント屋根と揃えたかのような黒地に手書きのメニューたちと
早速にらめっこタイムの開始だ。
ふむふむ、、、
やきとりの項目は大文字で自信がみなぎり、
目玉焼に玉子焼にニラ玉、ハムエッグと
卵ラインナップがなかなかの充実ぶりをみせてるぞ。。。
他には何かないか、、、
おっと、、、
これはとんでもないのを見つけちまったぜ、
黒板メニューの中に隠れていた筋子ちゃん。
え?
筋子を見たことも食べたことも無いのかって?
違う違う、
そうじゃ、
そうじゃない。
それは僕の中の鈴木雅之が出てくるぐらい愚問だぜ。
所狭しと書かれた黒板メニューの中に
筋子が二回も書かれているのを見つけてしまったのだ。
これは店主からの静かなるオススメのサインであり、
挑戦状でもある。
方南町・一心太助のカニみそも正にそれだった。
これをハズすわけにはいかないぜ。
すいませ〜んっ!
煮込みひとつと〜
刺し盛りひとつと〜
あ、あと、、、
・・・筋子ひとつ。。。
これはラッキーパンチでも
ビギナーズラックでもなく、
僕はちゃんと見抜いてますよ。
というメッセージを込めて
間を空けてから少し低めのシリアスなトーンで
筋子ひとつ。。。とコールした。
どうだいマスター、
ファーストオーダーでいきなりこの難問を攻略した酒飲みなんて、
そうそう居ないだろ?
ところがマスターは
はいよっ!
と言うだけで眉ひとつ動かさず
ポーカーフェイスをキメ込んだ。
なんだいマスター、ツレねぇじゃないか。。。
まぁいいさ、答え合わせなんて要らないぜ。
じっくりと煮込まれた煮込みと刺し盛りは大瓶でやっつけ、
オススメの生牡蠣はレモンが共通項の生レモンサワーでやっつける。
酒はいつも瓶ビールから始まり、
その後は生レモンサワーで戦い抜くのがいつもの流れ。
どのツマミもこの流れにビシッとフィットした。
そしてマスターの隠れオススメツマミ、
筋子のお出ましだ。
イクラとはまた違う独特の風味と強めの塩分が
さらに酒欲をソソる。
メニュー上ではなぜか500円と550円に値段が分かれてしまっているが、
間違いなくこれは550円の方だろう。
秋の味覚をビンビンに感じるウマさだ。
思った通り、、、
サイコーの酔い夜だぜ。。。
ひとしきり楽しませてもらったところでマスターにお会計をコールし、
お代のやりとりをしながら改めてメニューを眺めてみる。
二度書きされた筋子かぁ。。。
筋子なんて久しぶりに食べたが、
もしかしたらレモンサワーなんかではなく
日本酒とかのほうが合ったかもなぁ。
いつもの流れでビールとレモンサワーで戦ってしまったが、
他にはどんなラインナップがあったんだろか。
ウーロンハイに
緑茶ハイに、
・・・ん?
ウイスキーのソーダ割と
ウイスキーサワー???
この違いって一体。。。
はっっっ!!
これはまさか、
引っかけ二度書きメニューっ!?
しまった!!!
なんとなくで酒を選んで
見落としてたっっっ!!
もしやこっちが本当の暗号で
あの筋子はトラップ!?
あっ!!!
よく見れば右のは筋子じゃなくて筋るじゃないか!
ていうか筋るってナニよ!?
動揺を隠しきれない僕に気づいたマスターは
静かな口調で
またお待ちしてます。
と言うと同時に、
そのポーカーフェイスをほころばせたのを
僕は見逃さなかった。。。
完敗だ。。。
このリベンジは必ずやまた。。。
しな野
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