デカデカと佛壇と掲げた酒場、
函館魚販でイケメン旅人のよっぴーさんとマッチングしたのが前回のお話。
さてさてもう一軒行きましょで向かったのは杉の子さん。
事前の“オレ調べ”で、
函館最古のBARとしてロックオンしていた酒場だ。

外観からは中の様子が全くわからず、“最古の”というワードから、
薄暗い雰囲気のなかでラスボス的なマスターがニラミを利かせているんじゃないかと不安を隠せなかったが、
ねもさん行くよー
と今宵の相棒が躊躇することなくスタスタとエントリーしていった。

さすがはベテラン旅人、頼もしすぎるぜ。


店内に足を一歩踏み入れてみると、
そこは予想に反して明るくモダンな雰囲気で、意外にも多くの方々で賑わっていた。


あれ、めっちゃいい雰囲気だぞ。。。
いや、まだ油断はできないぜ、
コワモテマスターにシバかれる可能性だってゼロじゃ、、、
はいいらっしゃ〜い
カウンターどうぞ〜

うわ、めっちゃスマイリー!!
危険度ゼロっ!

これまた予想に反したユルい笑顔で、
こちらの緊張感も一瞬にしてゼロだ。
にこやかなマスターに誘われカウンターに腰を下ろすと、年季の入ったメニューが手渡された。

さすがはオーセンティックなBARだ、目移りしそうなほどの豊富なラインナップだが、最初の一杯はもう決まっているぜ。

ラムハイをお願いしますっ!

ラムハイとはここの名物で、
ほとんどの客が飲んでいると言われる『ネプチューン(ダークラム)』のハイボール。
この銘柄は先代の杉目泰郎氏がこよなく愛したそうで、外の看板にもその名が刻まれている。
甘くてどこか優しさを感じる味わいだ。


そして驚くべきはその価格。
開業当初(昭和33年)は一杯60円で、物価高騰の煽りを受けまくっている今でも350円という、リーズナブルさ。

もっと言えば、こんな歴史のあるBARなのにチャージ料ナシという破格っぷり。
このラムハイ1杯だけで帰る方でもウェルカムだと言うんだから、
杉の子の懐の深さは津軽海峡よりも深いぜ。

ここまででも十分に、いや、十ニ分に魅力満載な杉の子だが、
本当の魅力はこれだけじゃない。
入店時からずっと気になっていたのだが、店のど真ん中には2階へと上がる階段がある。

僕はおそらく従業員さんの休憩所とかに使われているんだろうなぐらいにしか思ってなかったのだが、そこをよっぴーさんがオーナーに切り込んでくれた。
すると、なんと2階にはまだ客室があり、ごくたまに使用することがあるのだという。
まさかの隠し部屋をロックオンだ。
僕らは図々しくも、ちょっとだけ見せて貰えないかと懇願すると、
あぁいいですよと快諾していただき、オーナーの旦那さまが案内してくれた。

カツ、カツ、カツ・・・。と革靴を鳴らす旦那さまに続きゆっくりと階段を上ると、昭和ガラスがはめこまれたドアが現れた。

ンギィィ・・・っと
ゆっくりとドアを開けると、、、
うわっ!
ブルジョワジーっ!!


なんとそこには貴族がくつろぐために存在するような洋間が大鎮座していた。
広さはおよそ20畳ほどで、
気品高きレッドカーペットの上には趣のあるソファーにチェア。
壁には函館の歴史やアートが飾られ、それらを藤のランプシェードの影が覆い、白熱球がぼんやりと照らす。
どこか色気すら感じる光景だ。


僕らがキャーキャーと驚き散らかしていると、
旦那さまがちょっとだけ得意気に雨戸のような大きな仕切り扉を開けてみせた。

扉の向こうには先程まで飲んでいたフロアが見下ろせ、
そこからジャズのBGMに乗って酔客の熱気も立ち昇ってくる。
なんちゅう景色だ。。。

函館を訪れた全旅人に言いたい。
100万ドルの夜景も良いが、
吹き抜けの中2階から見下ろす夜景はもっと酔いぜ。
函館山のロープウェイより
杉の子の階段を駆け上がるんだ。
この空間にシビレた僕らは互いにアイコンタクトを送り合い、
コクンと頷いてからさらに図々しい行動に出た。
ここで一杯飲ませて下さいっっ!!
あ、、、はいはい、じゃぁ5分だけ。。。
そう許可を得ると僕らはカウンターからラムハイを持って階段を駆け上がり、この空間を大独占した。


まさか函館にこんな酒場が隠れていたとは。。。
あらためてグラスをぶつけ合い、
ラムハイ片手に興奮した図々しい僕らが5分なんかで済まなかったのは言うまでもない。
サイコーだぜ。。。


もし、もしもよっぴーさんに今日出会えなかったら。。。
おそらくこの空間でグラスを傾けることは無かっただろう。

事前にどれだけ調べ上げていたとしても、ひとりでは辿り着けない場所ってのがある。
お酒の神様と旅の神様に微笑んでもらえてようやく到達できる場所だ。
もしかしたら、、、
水無海浜温泉で出会ったよっぴーさんは、
この神々を微笑ませてくれた海の神・ネプチューンなのかもしれない。
北の秘境温泉で出会った海の神はラムハイのように甘くて優しい漢だった。
この場を借りて、よっぴーさんありがとうございました♪

杉の子のみなさんにもめちゃめちゃ親切に対応していただきました。
酔い夜をありがとうございました♪


杉の子








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