江戸川橋で働き始めてはや16年。
この町で働き始めたころは今ほど酒が飲めたわけじゃなく、
酒場の魅力に気付いて酒場巡りを楽しむようになったのは
もっとずっと後のこと。
それでも、職場のすぐ近く、
なんなら職場のベランダからも見えるこの
すみれさんだけは特別な存在だった。
今となっては看板やテント屋根が新調されているが、
その当時は今よりもバッキバキの佇まいで、
とにかく惹きつけるオーラが凄く、
初めて酒場の外観に萌えを感じた。
ただ、
看板の割烹やふぐ料理の高級感にビビってた僕は
なかなかその暖簾をくぐれず、
いつか上司にご馳走してもらえるタイミングで行けたらいいなぐらいに思っていたが、
あるときランチ営業もされていることに気づいたので
ふらりと訪れてみると、
そこに広がる空間は
外観のイメージを裏切らない
正真正銘の昭和レトロ酒場。
酒飲みじゃなくたってグッとくる景色で、
内観もまた堪らなく萌えだ。
ランチメニューは焼き魚、揚げ物、刺身などの定食を、
100円の小鉢で好きなようにカスタマイズできる。
大好物のサンマがランチでお手頃に食べれるとわかると
一気に身近な存在となり、
昼メシローテーションのエースとして
今日も僕の胃袋を支え続けてくれている。
そんなある日のこと。
15時の休憩で仮眠をしていると、
けたたましいサイレンの音が職場の前に集まり出した。
事務のお姉さんに
『ネモトさん、すみれがっっ!!』
と叩き起こされ、
何事かとベランダから見てみると
もの凄い台数の消防車が
店の前に集まっている。。。
えっっ
すみれが火事っ???
心臓が大きくドクンと拍動し、
まるで実家が燃えてるかのような焦りを感じた。
お店のお父さまお母さまは大丈夫なのか?
もうあそこで酒もランチも楽しめなくなってしまうのか?
様々な不安がよぎりながら外に出てみると
若干のコゲ臭さは感じるものの、火の手は見えない。
大丈夫なのだろうか。。。
恐る恐るお店の前に来てみると
お母さまがどこかへ行こうとしてらっしゃる。
え、これ、大丈夫なんですか?
あ〜
火をつけっぱなしにしちゃってて、、、
コンロの上にチャッカマンがあったから
アタシがぶん投げてやったよ!
そう言って、
どこか勝ち誇った感と笑顔を残して
そのままどこかに行かれてしまった。
え?
コンロの上にチャッカマン?
それはもう爆発レベルでは???
え?
それをぶん投げた???
なかなか全貌を掴むことはできなかったが、
どうやらちょっとしたボヤ騒ぎで
大事には至らないで済んだということはわかった。
休憩時間が終わり、
仕事を再開するがやはり気持ちはすみれだ。
ついついベランダからのぞいてしまう。。。
とりあえず大丈夫そうで良かった。
すぐには難しいだろうが、
少ししたら営業が再開されるだろう。
1週間はかかるかな。
2週間はかからないかな。
早くあそこで一杯飲りたいなぁ。。。
そんな安心した気持ちと淋しい気持ちが混ざり合いながら、
手が空くたびにベランダの外を眺めていると、、、
あれ、、、
暖簾が出てるっっっ!!!
この時、
消防車たちが帰っていってからわずか2時間足らず。。。
なのにもう営業を再開されてらっしゃる。。。
いやいや、すみれさん、、、
回復力早すぎやしませんかwww
何か壮大なドッキリを見せられてるような気分だが、
嬉しいことには変わらない!
これはもう仕事が終わったらソッコーで
すみれで飲るしかないやつっ!!!
この後のどうでもいいような予定を全てすっとばして
タイムカードを押した30秒後にはすみれの暖簾をくぐってました笑
店内の状況がどうなってるのか気になってたが、
以前となんら変わりのない景色。
何事もなかったかのように
お父さまもお母さまも酔客もにっこり笑顔。
見渡してみれば
著名人の方も楽しげに飲られている🍶
職場の酒友のカオリちゃんも駆けつけてくれて、
結局いつも通りの酔い酒に。
僕の大好きな昭和レトロ感満載の
酒場萌えのすみれさん、、、
酒場燃えにならなくて本当に良かった。。。
ちなみに、
もう一度お母さまに
チャッカマンをぶん投げた件
を聞いてみると、
出火したコンロの前の棚の上にあったチャッカマンが危険と判断して
火元から遠ざける為にぶん投げてやったそうな。。。
なるほど、
お母さまのファインプレーが
お店を最悪の事態から救ったということだったんですね。
それであの余裕の笑みを浮かべられてたわけだ(笑)
帰り際にお父さまとお母さま、
そして娘さんのゲコちゃんと一緒にパチリ!
オフショットの方がみんないい笑顔な夜でした♪
これからもよろしくお願い致します♪
大衆割烹 すみれ
コメント