突然ですが、梵寿綱(ぼんじゅこう)建築ってご存知でしょうか。
日本のガウディの異名を持つ建築家、梵寿綱氏とその仲間達による建築物で、
どこか中世ヨーロッパのような、
ファンタジーの世界のような、
知る人ぞ知る建築群。



そのほとんどが東京都内に存在し、
なんのご縁か僕の生活圏内や思い出のある地でいくつか見学できるので、
ふらっと巡ってみることにしました。
ちなみに梵寿綱とは作務名で、
本名は田中俊郎さん。
一瞬、海外の方かと思ってしまいましたが、
東京・浅草の生まれでバリバリの江戸っ子だそうです。
まぁそのへんはWikipediaを参考にして頂ければと思います。
あ、建築のことはよくわからないので、
サラっとスピード紹介で笑
ドラード和世陀(わせだ)

最初の出会いはかれこれもう10年ぐらい前。
職場の近くにあるワセベンこと早稲田の弁当屋で
いつものようにナスカラを買った際に、
ふとその存在に気づいたのが最初の出会いでした。

その時は、
オシャレなマンションがありますなぁ〜
ぐらいにしか思ってなかったのですが、
今回改めてじっくりと鑑賞してみると
どこかRPGの世界に迷い込んだような世界観に圧倒。





大きな手のひらのイスやタイル絵に目が行きがちですが、
外壁の装飾もなかなか趣深し。




ちなみに梵寿綱さんは今もご健在で、
こちらに住まわれているとのことです。


ドラード和世陀(竣工:1983年)
ルボワ平喜【秘羅橲(ひらき):鎮守の杜】

え〜、
ついさっき、最初の出会いは10年前のドラード和世陀だと言ったばかりなんですが、
いきなり訂正します。
さらに遡ること10年前になんとなくこちらの建物を認識していたのを思い出しました。
こちらの所在地は板橋区の西台で、
高島通りに面した集合住宅。


20年前に板橋区に引っ越して来た頃、
不思議な建物があるなぁ〜
ぐらいには思ってたんですがあまり気にも留めておらず、
これも梵寿綱建築だというのを今回調べてみて初めて知るところとなりました。

今までは素通りでしたが、
足を止めて見学してみると色々なものが見えて来てこれもまた趣深し。
エントランスは円筒状のレンガ造りで『秘羅橲 梵』のレリーフが確認できます。


吹き抜けた2階部分には彩を添えるステンドグラスが。



ひとつ気になったのがブルーシートをかけて横たわっていた扉。

三角コーンにはまさかの撤去予定の文言が。。。

この貴重な作品はどこに行ってしまうのでしょうか。。。

そしてこの建物の見どころはなんと言っても外観のレリーフ達。

若草色に統一されたそれらは、
クモ、カタツムリ、トカゲ、ヘビなどなど、様々な生き物や花がデザインされ、
ざっと数えても10種類以上のパターンが確認できます。



上下を逆さまにしながら壁一面を覆いそびえ立つ姿は圧巻のひとこと。

ちなみにこちらの1階は平喜屋という酒屋さんの倉庫で、
飲食店なんかにもテナント貸しをしている模様。


酒屋で平喜屋、、、
もしかしたらここでピンと来た酒飲みの方もいるのでは。。。
答え合わせはまた後ほどで。

ルボワ秘羅橲(竣工:1977年)
ラポルタイズミ【和泉の木戸】

え〜、、、
すいません、
もう一回訂正させて下さい。
実はこちらの建物、さらに遡ること10年前、
つまり今から30年前の高校生の頃にニアミスしてました。
こちらの建物があるのは杉並区の代田橋というところで、
僕が高校3年間通った街。


基本的には商店街(現在の沖縄タウン:和泉明店街)を通り抜けて通学してたのですが、
商店街から2筋隣のこの道も何度かフラフラと通っておりました。

お、なんかアダルトな建物があるなぁ〜
・・・なんて思うことはなく、
道路の小銭を探して下を向いて歩いていた僕には
こんな建物があったなんて全く気づいておりませんでした。。。
これも今回調べてみて初めて知った次第でございます。

今にも天に羽ばたいて行きそうなペガサスの彫刻の躍動感に目を奪われていると、
どーんと現れたのが、女神の彫刻。

もうファイルファンタジーじゃん。。。

見下ろす女神にコンニチハして足元をくぐると、
モザイクタイルで装飾された人面柱が笑顔でお出迎え。

なんでも、この人面柱は男根をモチーフにしてるとかしてないとか。

途中で折れてる男根、、、いや、人面柱もあり、
男子としてはなんとも言えない気持ちになって来ます。。。

こちらも高く吹き抜けた天井に鮮やかなステンドグラス。

足元の階段にはタコ足のモザイクアート。


どこかエロチシズムを感じさせるような作品となっておりました。



ラポルタイズミ(竣工:1989年)
マインド和亜【舞都和亜(まいんどわあ)】

さきほどのラポルタイズミから徒歩3分ほどの場所にあるのがマインド和亜。

もう言いたくなりますよね、
わぁ〜!!って笑

こちらも足元はモザイクタイルで装飾され、
吹き抜けのエントランスにはステンドグラス。


建物の仕様としてはこれまでとほぼ同じですが、
こちらは半球体のオレンジ色のヤツがアクセントに。


そしてマインド和亜の見どころは中庭にあり!
さぁ、こちらをどうぞ〜!
・・・と言いたいところでしたが、
中庭は居住者のスペースで見学できなかったので門の外からチラ見。。。


この中にも特大の作品群が鎮座しているそうなのですが
残念ながら大きなクジラのシッポだけが垣間見ることができました。

そしてここのもうひとつのチェックポイントは併設されているコンビニ。

オレンジ色のヤツに合わせたかのように
いい感じに作品に溶け込むデイリーヤマザキ。
日本一装飾されているコンビニ
そんな異名もあるのだとか。

ちょうど喉が渇いたので
オレンジ色のヤツに合わせた缶チューハイで一杯!
だんだんと建築物をツマミに飲めるようになってきました笑

マインド和亜(竣工:1992年)
東商ビル【ヴェッセル:輝く器】

こちらは池袋と東池袋のちょうど中間にある建物で、
居酒屋さんが入るテナントビル。


建物内はこれといった特徴が無いので
物足りなさを感じる人もいるかと思いますが、
なんと言っても壁一面に張り巡らされたタイル模様が特徴的。

驚くべきはこの模様全てが手作りで、
2つとして同じパターンが無いとのこと。

これまでに比べると壮大さは劣るものの、
緻密さでは表彰台ものではないでしょうか。

東商ビル(竣工:1990年)
ルボワ平喜【斐禮祈(ひらき):賢者の石】

そして今回の梵寿綱建築巡りのラストがこちら。
さきほどの東商ビルと目と鼻の先にある建物でございます。
あれ、
ルボワ平喜ってさっきもあったじゃん!
って思いましたよね。
そうなんです、
さきほど板橋にあったあのルボワ平喜も
こちらと同じ酒屋、平喜屋さんの所有物件で、
こちらの竣工は板橋店より2年遅い1979年なので、
板橋店の弟分にあたります。



さっそくエントランスをくぐると、
まっ先に目に飛び込むのが天井のタイル画。


どこかペルシャ絨毯を思わせるようなデザインで、
ドラード和世陀にも通ずるような世界観。


人の手が照明を持ち、


イスもまた人体をモチーフにしたデザイン。



足元のタイルには特に装飾はなく、
ステンドグラスもこれまでに比べると小ぶりな印象。


だが緻密なタイル画の世界観はまさに圧巻。
なんだかこんなアートを眺めながら、
一杯飲りたいなぁ〜
なんて思いますよね。
缶チューハイをキメたマインド和亜のように。。。
そんな欲望をこのルボワ平喜はガッツリ叶えてくれます。
なんとこの建物、
平喜屋さんの倉庫を改装した立ち飲み屋さんが併設されているんです♪

吸い込まれるようにエントリーして一杯飲ってきたので
そちらの様子はこちらへ↓

ルボワ斐禮祈(竣工:1979年)
はいということで、
こんな感じで梵寿綱建築を見学して参りました。
他にもまだ何件か都内にあるので、
また訪れたらご報告したいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました〜♪
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