晴れには晴れの、
雨には雨の写真がある。
天気を恨むのではなく、
それを味方にして楽しむのだ。
これは以前、
とある写真家の先生が僕に教えてくれた言葉なのだが、
それはもしかすると酒場にも当てはまるのかもしれない。。。
この日、職場の後輩の新居にお邪魔させてもらおうと、西武池袋線の沿線に来ていた。


白を基調としたステキな内装に可愛いワンコ。
生活感と酒瓶で溢れる我が家とは真逆の、
めちゃめちゃステキなマイホームに羨望の眼差しを向け、
奥様の手作りオツマミで軽く一杯飲らせて頂いた。

その帰り道、
せっかく普段来ないエリアまで足を運んできたので、
後輩達と酔リミチをキメに数駅隣の秋津に降り立った。

秋津と言えば、
西武池袋線『秋津駅』からJR線『新秋津駅』までのおよそ400mほどの乗り換えストリートに無数の酒場が溢れかえっており、
赤提灯の誘惑に負けたお父さんたちが満面の笑みでジョッキを傾けている、
仕事帰り直帰困難酒トリートが有名だ。
その中でもアイコン的な存在の酒場と言えば、
やはりやきとり野島だろうか。
ここに決めたぜと店内を覗くがカウンター席はド満員。。。
せっかく来たのにまさかのノーエントリーかと思いきや、
オクヘドウゾー
ソッチノオクネ〜
とオネエサマに案内されたのは、
店の裏手にあるバックヤード的な立ち飲みスペース。

どれどれと覗き込んでびっくり、
ちょっと前の小池百合子ならブチ切れてたであろうぐらい密です。

なんなら店舗側のカウンターよりも密だ。。。
さすがにここもムリなんじゃないかとオタオタとしていると、
モットオク〜
モットオクネ〜
とオネエサマに押し込まれ、
高密度な空間をすり抜けて通されたのは
バックヤードの最奥地にポッカリと空いた
割りと広めの立ち飲みスペース。
おっ!ラッキー!
3人で入れたじゃん!
僕らがそう喜べたのは
もしかしたら3秒も無かったかもしれない。。。
なんとそこは夏の気温と酒飲みたちの熱気がよどむ
ウチワ必須のムシムシゾーン。

写真では伝わりにくいだろうが、
ここに何かもう一つ条件が重なれば
コミケ開催中の東京ビッグサイトのような
コミケ雲でも発生させられるんじゃないかと思えるほどの
高温と多湿の亜熱帯な空間だ。
確実に30℃は超えていたであろう。。。
振り返れば、あの密のエリアでは
マキタのドデカい扇風機がそよそよと酒飲みたちの頬を撫でている。


なるほど、、、
みなさん、
奥を避けてましたな。
まぁ仕方ないかと、とりあえずビールと串物をテキトーにお願いするが、
とにかく暑い。。。

唯一の救いは、
従業員の方が大型冷蔵庫に串を取りに来た時に感じる
わずかな冷気のみ。


さすがにこりゃあたまらんってことで
さっさと飲んで店を出ようと意見が一致するが、
この大盛況のせいもあってか、なかなか串が出てこない。。。


瓶ビールからレモンサワーに変え、
首を長くして待つこと約20分。
ようやく出てきた串たちのデカさよ!


ハサミで切り分けてね
とデカ串たちと戦う装備まで与えられたそのサイズ感は、
これで1本たったの100円という嬉しさと、
これとのんびり戦ってたらいよいよ暑さに負け
本気でスタンディングダウンするんじゃないかと思えるボリュームだった。

だが、この頃になってくると徐々にカラダが慣れ始め、
汗ダクになって飲むレモンサワーが思いのほかウマい。
体感する暑さのピークが過ぎ、
心なしかヒンヤリとしてきた。
頭皮を伝わって襟に落ちる汗がちょっぴり冷てぇや。
・・・って、
あれ、、、水、、、?
うわっ!
雨漏りしてるじゃんっ!!

全然気づかなかったがいつの間にか雨が降り出し、
そのおかげでいくらか気温が下がり、
ほんのりと過ごしやすくなっていたのだ。
こいつぁイイ!
恵の雨とはこのことだぁ〜♪
なんて言ってられたのも束の間。
次第に雨足は強くなり、
最終的には滝のような雨漏りが流れ込むゲリラ豪雨に!

信じられるかい?
いま酒場で傘を差し、
びしょ濡れになりながら飲ってるんだぜ。


こうなってくるともはやお祭り騒ぎとなり、
気がつけばこの場にいた全員と乾杯をさせて頂いた。



このノリと一体感、、、
これはもうフェスだ!


これまでに多くの酒場で飲らせてもらったが
屋根の下で傘を差し、
びしょ濡れになりながら飲んだのは、
おそらく後にも先にもここだけだろう。

やはり、、、
晴れには晴れの、
雨には雨の酒場がある。
酒飲みはどんな状況だって楽しめるのだ。



やきとり野島
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