見知らぬ店主の想いをツマミに一杯。(高円寺/七面鳥)

町中華で飲ろうぜ!
ちょっとだけ広告です。。。

 

久しぶりに仕事が早く終わった昨年の10月頃。

たまには散歩でもしながら帰ろうかと思い

雑司ヶ谷のあたりをフラフラと歩いていると、

真っ白に塗りつぶされた『中華そば ターキー』と書かれた看板が目に入った。

 

突如現れた白塗りの看板

 

 

もちろんすでに閉業されているのはすぐにわかったのだが、

ただ通り過ぎるにはなんだか妙に後ろ髪が引かれる感じがする。。。

とりあえず外観の写真を撮り、

後ほどどんな店だったのかと調べてみると、

そこにはちょっとしたドラマが隠されていた。

それは、、、

ここの店主が脱サラしてラーメン屋を開業しようと思い立った時、

店主が中学生の頃にこよなく愛していた

かつて新宿の牛込柳町にあった町中華『七面鳥』のラーメンを思い出し、

屋号をターキーと名付けて昭和50年に創業したそうな。

 

 

地域に密着し、長年地元の人たちに愛され続けたのだが、

創業45年目となる2020年9月に惜しまれつつも閉業となってしまった。

閉業された理由は不景気でも体調不良でもなく、

店の近くで借りているアパートが老朽化で取り壊しとなり、

引越しを余儀なくされた。

とのことで、

これまでと同程度の家賃では徒歩圏内に新居が見つからず、

かと言って安くても遠く離れた場所から通うのでは

営業を維持するのは困難と判断し、

悩んだ末に店を畳むことにしたそうな。

 

 

この時74歳の店主は移り住んだ街で新たに店を構えることはなく、

年金でのんびり暮らすことを選んだそうな。。。

僕はこの店主の人生の一端に触れた時、

そのラーメンが食べてみたいと思った。

店主が愛した新宿の七面鳥はもう無いが、

調べたところによると暖簾分けをした七面鳥が高円寺にあるとのこと。

もしかしたら、

ターキーの店主が愛した新宿七面鳥のラーメンが、

この雑司ヶ谷の街で愛され続けたターキーのラーメンが、

そこで味わえるかもしれない。

そんな想いで僕は七面鳥を訪れてみることにした。

⁡ 

こちらは昭和34年(1959年)創業の、

古き良き『ザ・昭和の町中華』といった佇まいで、

もしもデアゴスティーニから

『週刊・町中華』なんてものが発売されたら

間違いなく創刊号はこの七面鳥に決まるであろうってぐらい

正統派町中華の外観だ。

 

 

 

ガラガラっとアルミサッシの引き戸をすべらすと

大きなコの字カウンターが現れ、

町中華では珍しい高級寿司屋のような白木のカウンターが

堂々たる威厳を醸し出している。

 

 

その脇には可愛らしくもあり、

褪せた色味からは哀愁も漂う町中華レッドのテーブルとイスが並び、

おひとり様もファミリーもバッチコイのハコサイズ。

 

 

酒を飲むことに関してはマジメな僕は、

今回この七面鳥を訪れるにあたって

予習をしっかりとしてきた。

まず、カウンターに立つのはこの店の3代目で、

調理場では2代目の老夫婦が鍋を振るっておられる。

 

 

そして、ここでの飲り方は

『すいませ〜ん!大瓶1ぽ〜ん』

なんて声を張り上げるのではなく、

セルフで冷蔵ケースに取りに行き、

お気に入りのグラスを見つけてきて勝手に飲るスタイルだ。

 

冷蔵ケースの前で

今日は何にしようかな〜

なんてフィーリングで選べるのがちょっとワクワクしたりもする。

 

 

 

 

 

 

そう言えば大塚の幸龍軒もこのスタイルだったな。。。

 

大塚/幸龍軒

 

まずは銀色のヤツで喉をアルコール消毒しつつ、

壁のホワイトボードメニューたちを一応眺めるが、

 

 

今日はもう決まってるぜ

ターキーの店主がこよなく愛した

思い出のラーメンをすすりに来たんだ!

 

 

 

、、、って、言い切りたいとこだが、

予習熱心な僕は実はもう知ってしまっていた。

この七面鳥の推しはオムライスだってことを。。。

 

 

一瞬気持ちがグラついたが、ここは初志貫徹。

今日はオムライスではない、

思い出のラーメンを感じに来たんだ。

と自分に言い聞かせ、

 

3代目にラーメンをお願いし、

無料で出していただいたお通しをツマミながら待つことしばし。

 

(左)エビしゅうまいスープ的なやつ。(右)きんぴら。

 

目の前に届けられたのはスープが透き通る、

これぞ『ザ・東京醤油ラーメン』

といったビジュアルの一杯。

 

 

歯応えしっかり系チャーシュー。

 

 

鶏ガラだけでなく豚骨も使用されているとのことで、

パンチは決して強くないが、

しっかりと味の深みが感じられる。

優しさと力強さが仲良く同居しているお味だ。

⁡ 

 

何気にあると嬉しいのがナルトだよね!

 

もし、ここの2代目店主がかつて新宿にあった七面鳥の味を継承しておられるなら、

ターキーの店主が愛したラーメンの味に限りなく近いと言えよう。

見ず知らずの店主とはいえ、

ここまでくればもう、

完全に一方的ではあるが知り合いみたいなもんだ。

想いを分かち合える同士のようなもんだ。

 

このスープにいろんな想いが溶け込んでいるのです。

 

ターキーの店主の想いも溶け込んだスープをじっくりと味わっていると、

なんとも言えない達成感感動がこみあげてきた。。。

 

このたかぶる想いを誰かに伝えたくなった僕は、

器を下げにきた3代目に想いをぶつけてみた。

ごちそうさまです!

めちゃめちゃうまかったっす!

実は僕、雑司ヶ谷にかつてあったターキーというラーメン屋の看板に

なぜか心が動かされまして、

その店主が以前新宿にあった七面鳥の味に惚れ込んだと聞いたので、

暖簾分けをされたこちらに食べにきました!

やはりこちらの七面鳥さんは、

以前あった新宿のお店の味を継承されているのですか?

そんな感じで、

やや面倒くさめのアツイラーメンマニアなテンションで問いかけると、

3代目は忙しい中わざわざ手を止めてくれ、

にっこりと笑顔で、

かつ優しい口調で、

『うちとは無関係ですよ☺️ニコっ

と教えてくれた。。。

良く言われるんですけど、

七面鳥ってあちこちにあるみたいですしねぇ〜

あはは〜

とも付け加えて頂けた。。。

え?

えっ?

 

 

えぇぇ〜〜〜??

僕は今まで何に想いを寄せて

しみじみとラーメンをすすっていたんだろうか。。。

 

チャーシューをすくいあげてみたり、

 

麺をすくいあげてみたり、、、

 

スープをキラキラさせてみたり。。。

 

 

このまさかの急展開に理解が追いつかず、

こっ恥ずかしさも相まり、

さっきのアツイ想いを込めた質問をにしたくなった僕は、

何事も無かったかのように

あ、オムライス追加で🖐️

と平静を装うのが精一杯でした。。。

⁡ 

 

何事も無かったかのようなオムライス。

 

 

いろんなことを無にしてくれたオムライス。

 

 

 

ネット情報を簡単に信用したらいけないという

酔い教訓となりました😅

ちなみに、数日後もう一度訪れて同じ質問をしてみると、

今度は若干ニュアンスが変わり、

 

新宿にあったとかなかったとか、、、

う〜ん、ちょっとよくわからないですね〜

と、

シンプルに3代目があまり気にしてない

 

説が濃厚となって参りました😆

結論、

七面鳥はオムライスと唐揚げがめちゃうま。

 

 

 

最後の最後に残った確かな情報はそれだけでした🤣

⁡ 

そして店主の想い探しこちらへとつづく。。。

 

ごちそうさまでした〜🍺🍜✨

 

 

 

 

七面鳥

完読ありがとうございました!

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